税理士の先生に聞く 不動産投資での節税のポイント【1】
節税効果の高い物件とは

不動産投資ではご存知の通り、不動産の取得時、保有中、売却時にそれぞれ税金がかかってきます。これはかなりの負担になります。この税金負担を少しでも軽減するための方法を齊藤税理士の聞いてみました。

【目 次】
第1回 節税効果が高い物件とは
・申告に有利な物件とは?
・建物比率の高い物件とは?
・節税効果の高い物件とは?
・節税を最大限に活かせる物件とは?
・不動産投資に係る税金
・不動産取得税とは?

第2回 物件を増やした時の申告の問題
・白色申告と青色申告の違い
・所得税について
・税理士との顧問契約について

第3回 法人化するべきか?個人のままか?
・法人化のタイミング
・法人化のメリット
・個人と法人の違い
・法人化の留意点

コラム 消費税の還付が受けられない


第1回 節税効果の高い物件とは

・申告に有利な物件とは?
Q.  申告に有利な物件とは、どのような物件でしょうか。

A.  不動産物件を保有して運用している間の申告では、減価償却費が問題になるので、物件の取得価格に対する建物の比率が高い物件が有利です。

なぜならば土地と建物の内、建物の部分が減価償却の対象になるからです。

例えば、取得価格が100の土地付き物件を考えた場合、土地と建物の比率が50対50の場合と20対80の場合では、減価償却費に違いが出ます。

80の方が30多く償却でき、お得な物件と言えます。

次に、償却しきった後の帳簿価格を考えてみると50対50の物件では帳簿価格が50になり、20対80の物件では20になります。

それぞれの物件をもう1度100で売却できたとすると、50の物件は差額が50、20の物件は差額が80になります。

物件を売却した時には帳簿価格と売却益との差額に対して課税が生じます。

従って20対80の物件の方が、課税対象額は大きくなります。

しかし、売却時は土地と建物分離課税になるので20%の税率で済みます。

そう考えると保有している期間では収入に対して減価償却費が発生する一方で、売却時には差益に対する20%の税金がかかりますので、50と80の差の30に対して税率からすると30%儲かる事になります。

・建物比率の高い物件とは?
Q.  建物比率の高い物件とはどのような物件でしょうか。

A.  具体的には、一戸建よりもマンションです。また、海外の物件は建物比率が高いようです。

例えばニューヨークなどで駐在員が住むような物件では建物比率が7割位です。

木造の築30年で1億円の中古物件があったとします。

木造は法定耐用年数が24年で、耐用年数を過ぎた物件の償却期間は、本来の法定耐用年数の20%になります。

築30年の物件では償却期間は4年です。

この物件の建物の価格が7,000万円だった場合、毎年約1,800万円位が償却できて、4年後には土地の取得価額の3,000万円しか帳簿価額が残っていない事になります。

アメリカの中古の市場はとても充実しているので中古でも価値が下がる事がありません。

同じ物件をもう1度1億円で売る事も可能です。

その時の売却益は7,000万円になり、税金は20%の1,400万円です。

しかし、最初の4年間で約1,800万円づつ償却していますので、7,000万円に対して50%の税効果があり、3,500万円位の節税をしていて、最後売った時には1,400万円の税負担で済むという事になります。

・節税を最大限に活かせる物件とは?
Q.  減価償却を最大限に活かせる物件は、どのような物件でしょうか。

A.  耐用年数が短い木造です。RCは耐用年数が47年ですが、木造の耐用年数は24年です。

RCのビルを3本持っている場合と、RCを2本と木造を5個くらい持っている場合とでは、評価額が同じならば減価償却の問題でRCを2本と木造を5個方がお金が残ります。

ただ所有していた物件を売る時には、日本の中古マーケットでは価値が落ちる点が不安です。

・不動産投資にかかる税金
Q.  基本的な質問ですが、不動産投資に関わる税金の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。

A.  不動産を買った時には、不動産登記に必要な登録免許税、不動産取得税と消費税です。

不動産を保有している間は、固定資産税と都市計画税がかかります。

売却する時には、譲渡税、所得税、住民税がかかります。

・不動産取得税とは?
Q.  不動産取得税に対する対策を教えて下さい。

A.  不動産を買った時にかかる不動産取得税は4%です。

この不動産取得税を節約する方法として、法人の場合は物件の売買をするのではなく物件を持っている会社を買って合併させる方法があります。

但し、ある程度のボリュームがあってそれぞれの会社が不動産事業を行っていることが要件です。

又、会社の中の一部門である不動産部門を取得する場合は、1度会社分割を行なって分割後の会社の株式を売買します。

株式を買った側は、一旦子会社化した上で子会社を吸収合併させます。

会社同士の合併や組織再編成行為になるので消費税はかかりません。

登録免許税は若干かかりますが、不動産取得税は非課税です。

その他に、とても大きなビルの場合は、信託設定をした上で信託受益権を売買する方法もあります。

信託設定をする時に0.4%位のコストがかかりますが、売買するのは物件ではなく受益権の売買になりますので、不動産取得税はかかりません。

この方法は、雑誌でも紹介されるほどポピュラーです。


齊藤 健一(さいとう けんいち)税理士
税理士法人サンク・アンド・アソシエイツ 代表社員
株式会社サンク・アンド・アソシエイツ  代表取締役

【経歴】
1997年
千葉哲範公認会計士・税理士事務所(現アクタス税理士法人)
国内系企業、公益法人及び外資系企業への税務サービス、VC、投資事業組合へのアドバイス並びにベンチャー企業への株式公開コンサルティングに従事
2003年
税理士法人プライスウォーターハウスクーパーズ
法人・個人の税務申告の他、株価・事業価値等の算定業務、組織編成、M&A・事業再生等に係る財務内容調査及びオーナー系企業及び個人富裕層に関連する投資スキーム、事業承継・相続対策に従事
2007年
サンク・アンド・アソシエイツ設立
上場企業、投資事業組合の決算サポート、グループ事業再編・M&A等に係る財務内容調査(デューデリジェンス)並びに東っスキーム策定等のアドバイザリー業務、株価・事業価値等の算定業務に従事するとともにオーナ系企業及び個人富裕層に関連する投資スキーム、事業承継・相続対策に従事