身内間・親子間で不動産の売買をおこなう場合の重要項目の一つが売買価格の設定です。
相続税法7条では、著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合は時価との差額はみなし贈与として贈与を受けた者に贈与税が課されると規定されてるため、「著しく低い価格」に該当しないため十分に検討する必要があります。

土地の時価評価で一般的に利用されるデータ

  • 公示価格
    国土交通省が、全国約3万地点を不動産鑑定士に評価を依頼して、毎年1月1日時点の価格を公表。
    主に公共用地の収用する時の適正な補償金の算定や民間の土地取引に利用され、最も時価に近い指標とされる。
  • 基準地
    価都道府県知事が、不動産鑑定士に評価を依頼して、毎年7月1日時点の価格を公表。公示価格が都市計画区域内を対象とするのに対し、基準地価は区域外の林地も対象としており、地価公示価格同様に土地取引の目安として利用される。
  • 相続税評価額
    国税庁が、財産評価基準として路線価図・評価倍率表を、毎年1月1日時点の価格を公表。
    相続税及び贈与税の財産を評価する場合の指標とされ、公示価格の80%を目安に設定されている。
  • 固定資産税評価額
    市町村長が、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づき、土地・建物所有者に固定資産税等を賦課。
    土地は公示価格の70%程度、建物は建築費の50~70%程度から築年数を勘案して設定されている。
  • 鑑定評価額
    国土交通省の不動産鑑定士名簿に登録された不動産鑑定士による不動産鑑定。
    不動産の経済価値を判定した結果を価額に表示する鑑定評価は、公示価格の決定等をおこなう不動産鑑定士の独占業務であり、それ以外の者が不動産の鑑定評価をおこなうと刑事罰の対象となる。

時価の80%とされる路線価による取引に関する判例紹介

時価と概ね一致すると考えられる地価公示価格の約80%とされている路線価(相続税評価額)以上、時価未満で売買した場合に、著しく低い価格に該当するのか?の判例に基づき、太陽ASGマネジメントリポートの解説を紹介します。
・著しく低い価格と判断された事例(平成18年3月28日判決)

    1. 譲渡者が、本件土地の時価(通常の取引価額)及び時価と路線価評価に基づく相続税評価額との開差を認識していたと認めるのが相当な状況であること
    2. 本件土地の周辺の地価が横ばいである状況下において、投資目的で取得した本件土地に係る共有持分を、取得価額を下回る相続税評価額相当額で譲渡することには経済的合理性がないこと
    3. 本件土地の時価が下落した事実が認められないなか、本件各共有持分を相続税評価額相当額で長男らに譲渡することにより、譲渡損失を発生させ、譲渡者の財産が減少していること

・著しく低い価格ではないと判断された事例(平成19年8月23日判決)

    1. 譲渡者が 13 年 8 月に購入してから 15 年 12 月に譲渡するまで 2 年以上経過していること
    2. 購入者が取得したのは土地の持分で容易に換価できるものではなく実際に換価していないこと
    3. 譲渡者に流動資産を増やしたいとの一応の合理的理由があったこと

著しく低い価格」に該当しないためには慎重な判断が必要になりますので、身内間・親子間売買を検討されてる方は専門家への相談依頼をお勧め致します。